中村天風とクンバハカ

 十年前かそれ以前にビジネス書や精神世界の本を読んでいるなかで、中村天風という人を知った。本も買ってネットでも情報を得ていた。ひと月前に久しぶりに本屋で中村天風の言葉なるミニ本があったので買ってみた。そしたら、旦那も思い出したのか、つられてネットで調べアマゾンに出店している古本屋で、「ヨーガに生きる 中村天風とカリアッパ師の歩み」(おおいみつる)という本をお買い上げ。ついこの間、私もその本を一通り読み終わった。天風師のヨーガの里(ヨーガのアシュラム)での実体験をもとに、小説として作りあげている本だった。

 

 クンバハカとは、カリアッパ師によれば、もっとも神聖な状態、完璧な状態という意味だそうだ。心と体をそのような状態にすれば、この世を楽に生きれるというわけらしい。ヨーガの修行の最後はこのクンバハカを自分で悟る必要があり、クンバハカを悟ったあとも悟後の修行を続け、自分自身を生き通す。それがこの世を生き切るということになる。

 

 クンバハカを悟るには、カリアッパ師の言葉によれば、体を壺の中へ水をいっぱいに入れたような状態にすればよい。もっと言えば、呼吸の合間合間を、ちょっとだけ止めて、その瞬間、水をいっぱいに入れた壺のようにすればいいとのこと。天風師によれば、ストレスを感じたら、すぐ肛門を閉めると同時に、臍下丹田に気力を込め、肩の力も抜く。この三つを同時に行なって、その瞬間息を止めるという方法を教えている。このクンバハカができれば、思考のない無心の瞬間に入っている。思考のない状態に入れない場合、肛門を閉めるということで、心と体にとっては、一種の健康法の扱いでとどまっているかもしれない。